企業経営者らでつくる関西経済同友会が、「DE&I社会の実現」と題する提言をまとめた。先日、大阪市内で開かれた会見に足を運んだ。
DE&Iは、英語のダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)の頭文字からなる略語だ。欧米発の考えで、ここ数年、日本でも経営理念に取り入れる会社が増えつつある。
年齢や性別、障害の有無、国籍などにかかわらず、誰もが尊重され、挑戦する機会が公平に与えられ、個性や能力を発揮できる-。DE&Iをざっくり説明すれば、こんな感じだろうか。同友会の提言は、少子高齢化が進む日本こそ社会全体で取り組むべきとしている。
理念に賛同しつつ、「では当の企業は?」と問いたくなる人もいるだろう。日本企業は女性登用すら遅れ、D(ダイバーシティ)一つとっても不十分だ。男性中心の組織文化「オールド・ボーイズ・ネットワーク」にどっぷり漬かってきた経済人たちの提言だけに、私なぞはつい厳しい目を向けてしまう。
それでも、「われわれも変化しなくては」という彼らの思いは伝わってきた。DE&Iと向き合わなければ、優秀な人を採用できないし、グローバルな競争に負けてしまうとの危機感ゆえかもしれない。
会見で坂本英一・NTT西日本副社長は「マジョリティー(多数派)こそが変わるべきとの認識を持ちたい」と述べた。大切な出発点だと思う。
自分たちには見えていないが、少数派にとっての「障壁」が自社にもきっとあるはず。企業の経営陣や管理職は、そうした認識を共有することから始めてほしい。同友会の有言実行に期待している。
