日々小論

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 4月の統一地方選で、若者たちの「ある行動」が注目を集めた。知事選や議員選に立候補届を出し、不受理になる大学生らが各地で相次いだのだ。

 「若者の危機感が伝えられないことに、悲しみや怒りを感じます」。鹿児島県議選で不受理となった大学3年の中村涼夏(すずか)さん(21)がニュースで語っていた。神奈川県知事選や千葉県船橋市議選などでも同じことが起きた。みな必要書類を整え、供託金も納めていた。不受理の理由はただ一つ、被選挙権年齢に達していなかったためだ。本人たちも承知の上だった。

 虚を突かれた気がした。

 公職選挙法は立候補できる被選挙権年齢を、参院議員と知事は30歳以上、衆院議員と地方議会議員、市町村長は25歳以上と定めている。一方、選挙権は2016年から18歳以上に引き下げられ、22年には成人年齢も18歳となった。

 世界では6割以上の国で21歳から立候補が可能だという。日本では、なぜ被選挙権だけが戦後一度も見直されないのか。参院と衆院、知事と市長などに年齢差を設ける理由は-。その問いにどう答えたらいいのか。

 被選挙権年齢の引き下げを検討するはずだった国会の議論は進まない。若者の低投票率を憂い、政治参加を求める一方で、立候補には「未熟」と決めつける。若者たちは身をもって年齢の壁に挑み、当たり前のように存在するルールの正当性と大人の身勝手を問おうとしている。

 彼らは今後、国に対し違憲訴訟を起こすという。ネット上では「パフォーマンスだ」などと批判もある。だが当事者が声を上げ、連帯する力がさまざまな「当たり前」を変えてきた。多くの若者に、同世代の挑戦を見守っていてもらいたい。

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