将棋の「伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦」(神戸新聞社主催)7番勝負を制し、5連覇で永世王位の資格を獲得した藤井聡太王位(22)=竜王、名人、王座、棋王、王将、棋聖=が29日午前、対局場の神戸市北区、有馬温泉の旅館「中の坊瑞苑」で記者会見した。今後の目標を問われ「経験が少ない展開でも、局面の急所を見抜いて考えていける力をもっとつけたい。新しく、面白い局面を切り開いていけたら」と語った。
藤井王位は27、28日に指された7番勝負第5局で挑戦者の渡辺明九段(40)を破り、通算成績4勝1敗で防衛。AI(人工知能)による勝率の評価値「0%」からの藤井王位の大逆転など劇的なシリーズだった。
王位戦5連覇によって「22歳1カ月」で史上4人目の永世王位の資格を得て、羽生善治九段(53)=日本将棋連盟会長=の最年少記録「26歳11カ月」を更新。棋聖に続き自身二つ目の永世称号で、複数獲得時の最年少記録(羽生九段の「24歳9カ月」)も更新した。
会見で藤井王位は「永世王位」と書かれた大きな木の駒を手にし、笑顔で写真撮影に応じた。「永世七冠を達成した羽生九段をどう意識しているか」と問われると「偉大さを実感している。記録の面でも対局の内容も含めて、何とか近づいていきたい」と発言。関西でも指される王座、竜王のタイトル戦に向けては「良い内容の将棋をお見せできるよう頑張りたい」と意気込みを見せた。(小林伸哉)
【特集ページ】王位戦