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国の重要文化財、布引五本松堰堤=神戸市中央区葺合町
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国の重要文化財、布引五本松堰堤=神戸市中央区葺合町
水が豊富なときだけ見られる「五本松かくれ滝」=神戸市中央区葺合町
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水が豊富なときだけ見られる「五本松かくれ滝」=神戸市中央区葺合町

 「雨が降った後、すぐに滝の水量が増えるわけではない」

 そんな助言を得て、晴天がしばらく続いたある日、カメラを持って布引に出かけた。せっかくなので、滝よりさらに上流にある布引五本松堰堤(えんてい)(布引ダム)まで足を延ばすことにした。布引ダムは1900(明治33)年に完成した歴史的建造物で、国の重要文化財でもある。

 市水道局によると、ダム湖である布引貯水池の水は中央、兵庫両区の一部に浄水として使われている。ただ、現在は琵琶湖・淀川水系の阪神水道企業団から購入した水でほとんどが賄えるため、布引の水を利用するのは「多くても全体の3~4%程度」という。

 登山道を歩いていくと、たっぷりと水をたたえた貯水池が目に飛び込んできた。ここまで来たのは初めてだ。周囲に文化財であることを示す看板や標識が並んでいた。貯水池を眺める。水には心を癒やす力があると実感した。

 さらに歩くと「ザーッ」という音が聞こえてきた。何だろうと思って近づくと滝のような水が流れ落ちている。これはもしや…。

 「五本松かくれ滝」だった。貯水池がいっぱいのために放流するときだけ流れるという希少な滝だ。布引の滝は四つあるが、「五つ目に追加しよう」という声もあるとか。名前だけは聞いたことがあったが、まさか晴天の日に見られるとは思っていなかった。

 貯水池がいっぱいで、かくれ滝が流れ落ちるほどのこの日、雄滝(おんたき)も当たり前のように勇壮な姿を見せてくれた。撮影のときだけマスクを外し、多くの人が記念写真を撮っていた。

 山の神様からの贈り物。新型コロナウイルスやロシアのウクライナへの侵攻で息苦しい日々が続いていたが、少し心が晴れた気がした。(安福直剛)

【バックナンバー】
(5)水の量少なくない? 壮大な滝は雨次第
(4)擬木の手すり 大正期製造か、登山道ずらり
(3)老舗茶屋 明治期の建築今に
(2)去来軒 消えた屋号の謎
(1)「遊園地」 土産物屋、茶屋にぎわう

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