きょうだいや近所の人たちと盆踊りに出た石井順子(2列目左)
きょうだいや近所の人たちと盆踊りに出た石井順子(2列目左)

 石井家の家族はみな音楽が好きだった。戦後間もない時期だったのに、新開地のレコード店が毎月、新譜を届けに来る。流行歌やジャズ、クラシック、浪花節…。父の栄一は「家の中に音がないのはあかん」と言い、朝から晩まで音楽をかけている。

 順子は幼稚園のころから電気蓄音機でレコードを聴いてきた。一番多いのはジャズ。リズムの良さが自分自身の感覚に合った。

 そんな両親の影響を受けて、順子は小学生のときから音楽学校に通い始める。灘区と御影町(現東灘区)の間を流れる石屋川の辺りにあり、兵庫区から市電などで行った。歌やピアノ、バレエ、芝居などの勉強をした。