2020年3月31日。神戸市立医療センター中央市民病院の9階西病棟(9西)で、新型コロナウイルスに感染した60代男性が「せん妄」状態に陥っていた。妄想や幻覚に襲われる男性を、担当の看護師がつきっきりで看護する。看護師は個人防護具やサージカルマスクを着けているが、男性はマスクをしていない-。
この看護師は4日後の4月4日、9西で70代女性を看護した。コロナ感染者ではないが、せん妄の状態だった。看護師はこの時点では無症状で、看護のために頻繁に病室を訪ねる。女性は8日に発熱し、9日に感染が確認された-。
これらは中央市民病院の報告書で、60代男性から看護師へ、さらに看護師から70代女性へと感染したルートと推測されている。