サンテレビ本社玄関に飾られた選手サイン入りの大型フラッグ。「通りがかりの人がよく写真を撮っていますよ」と話すサンテレビ・スポーツ部の桜井祐貴さん=神戸市中央区東川崎町1、サンテレビ本社
サンテレビ本社玄関に飾られた選手サイン入りの大型フラッグ。「通りがかりの人がよく写真を撮っていますよ」と話すサンテレビ・スポーツ部の桜井祐貴さん=神戸市中央区東川崎町1、サンテレビ本社

 29日に開幕するプロ野球で、阪神タイガースの試合中継を看板とする地元のサンテレビジョン(神戸市中央区)は今年、前年より5試合多い61試合の放送を予定している。38年ぶりの日本一に輝いた昨年は、リーグ制覇を決めた9月の中継で最高視聴率を記録した。再現を狙い、優勝争いが激しくなる9月に、前年の2倍を上回る試合の放映権を確保した。担当者は「栄冠の瞬間をサンテレビのカメラで伝え、ファンと歓喜を分かち合いたい」と意気込んでいる。(津谷治英)

 阪神戦中継は「サンテレビボックス席」の番組名で、開局した1969年から続く。延長戦に突入しても試合終了まで放送することから、虎党の熱い支持を受けてきた。今年5月には55周年を迎える。

 在阪各局にとって阪神戦は視聴率獲得を期待できるコンテンツで、放映権争いは年々激化している。そこでサンテレビは、朝日放送テレビ(大阪市)と提携し、自社制作以外のゲームもリレー中継。より多くの試合を放送してきた。

 長年の蓄積が実り、昨年9月14日、甲子園球場でセ・リーグ制覇を決めた対巨人戦で、地上波テレビ中継の関西地区の平均世帯視聴率20・8%(速報値)をマーク。2003年7月5日に放送した阪神-ヤクルト戦中継の17・5%を抜き、同局史上最高の数値をたたきだした。

 リーグ優勝の日は、翌日の午前3時近くまで特別番組を流した。視聴者から感謝のメッセージが相次ぎ「特番を含め全部見た」との声も寄せられた。

 同局スポーツ部の桜井祐貴さん(36)は「多くの人の関心がネットに流れる中、タイガースがテレビに視聴者を呼び戻してくれた。ブランド力を実感した」と脱帽する。

 最高視聴率の更新を視野に、優勝が決まる可能性が高い夏後半の中継を強化。とりわけ9月は昨年、リレー2試合を含む計5試合を放送したが、今年は同2試合と計11試合を手がける。

 昨年の快進撃から一転、今年のオープン戦のタイガースは決定力に欠き、12球団中最下位に沈んだ。

 ファンからは、期待と不安の声が聞かれるが「サンテレビは永遠にタイガースとともにある」と桜井さんは力強い。「今年も全力。先輩方が築いた伝統を守り、後輩に引き継ぎたい」

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 サンテレビボックス席は、5月6日の甲子園の広島戦で55周年記念中継を予定する。解説は昨年のリーグ優勝放送コンビの掛布雅之さん、真弓明信さんを招く。またタイガース関連グッズ販売で人気の「おっ!サンの店」を、今年も阪神百貨店梅田本店(大阪市)で4月10日から営業する。