兵庫県の斎藤元彦知事らに「違法行為があった」とする告発文書を作成した元西播磨県民局長の男性(60)が死亡した問題などを受け、片山安孝副知事が12日、県庁で報道陣の取材に応じ、「県政の停滞を招いたことを重く受け止め、責任を取らなければと考えた」と辞職する意向を表明した。同日午後に辞表を提出し、31日付で退任するという。
辞職の理由について「議会と十分な信頼関係が築けず、職員との間にも大きな溝があった」と言及。さらに県議会が地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)を設置する事態に至り、「職員に大きな負担をお願いすることになった責任がある」と説明した。
自身の辞職は「6月上旬ごろから考え始めた」とし、斎藤知事にも計5回にわたり辞職を進言したが、「選挙で県民の負託を受けている」と断られたという。
また知事について「新型コロナウイルス対応や若者・Z世代の支援など、進めてきた政策は評価できる」とした一方、「コミュニケーション能力に問題があった」と指摘。「職員だけでなく国会議員や県議会との意思疎通が不足したことが、現在の混乱を招いた要因」とし「知事を支えられなかったことに自責の念がある」と涙ぐむ場面もあった。
元県民局長の男性は19日の百条委員会に証人として出席予定だったが、7日に亡くなっているのが見つかった。自死とみられている。(前川茂之、金 慶順)