兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを告発する文書を作成した元西播磨県民局長の男性(60)が死亡した問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)の理事会で16日、男性が生前に作った百条委への陳述書や、斎藤知事の発言を録音した音声データが提出されたことが報告された。19日の百条委会合で資料として採用するか決める。
一方、斎藤知事は16日の定例会見で「道は険しいが、県政を前に進める」として辞職を重ねて否定した。
理事会は非公開で、百条委委員長の奥谷謙一県議が会合後に内容を説明した。それによると、資料は12日に男性の遺族が県議会事務局にメールで送った。陳述書のほか、「一死をもって抗議する」「百条委員会は最後までやり通してください」などと男性が残したメッセージが記されていた。
陳述書は11ページで、今月19日に予定されていた証人尋問に向けた想定問答形式の文書で、告発文書を作成した経緯などがつづられていた。また、音声データには斎藤知事が2年前の西播磨への公務出張で、特産のワインを所望するような発言が録音されていたという。
これに対し、斎藤知事は会見で「詳細が分かり次第、しかるべき場で回答する」と述べるにとどめた。
斎藤知事はまた、14日にあった自民党兵庫県連大会で、末松信介会長(参院兵庫選挙区)が辞職を含めた判断を求めたことについて「真摯に受け止めたい」としつつも、「4年間しっかり仕事をさせていただくことが、(選挙で)県民の負託を受けた私の責任だ」と従来の見解を繰り返した。(前川茂之、金 慶順、岩崎昂志、勝浦美香)
【元西播磨県民局長の文書問題】 兵庫県の西播磨県民局長だった男性が3月、斎藤元彦知事や県幹部らの言動を「パワハラ」「違法行為」などと告発する文書を作成し、報道機関などに配布。県は男性を解任し、「核心的な部分が事実でなく誹謗中傷に当たる」として、5月に男性を停職3カ月とした。これに対し内部調査の客観性が疑問視され、県議会が6月、疑惑の真偽を調べる調査特別委員会(百条委員会)を設置。男性は証人として出席予定だったが、今月7日に死亡した。自死とみられる。