亡くなった当時のままにしてある娘正美さんの部屋で語る山本恭一さん=豊岡市但東町
亡くなった当時のままにしてある娘正美さんの部屋で語る山本恭一さん=豊岡市但東町

 兵庫県内で26人が亡くなった2004年10月の台風23号豪雨から、20日で20年となる。豊岡市但東町では、介護福祉士を目指していた日高高校3年の山本正美さん=当時(17)=と母美津子さん=同(41)=が犠牲になった。娘と妻を同時に失った恭一さん(66)は「あの日さえなければ-」と悔やみ続けてきた。災害は各地で相次ぎ、若い命も失われ、そのたびに心がかき乱される。「同じ思いをする人はこれきりにしてほしい。命を守って」。気持ちは強まるばかりだ。(阿部江利、丸山桃奈)

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 正美さんは、旧但東町の社会福祉協議会で介護ヘルパーをしていた美津子さんの影響か、早くから「進路は福祉」と決めていた。日高高福祉科に進学後は、美津子さんと家で「ベッドでの介助の仕方は」などとよく議論していたという。