石破茂首相が来援した街頭演説。厳重な警備体制を敷かれた=20日午後、尼崎市内(画像の一部を加工しています、撮影・小林良多)
石破茂首相が来援した街頭演説。厳重な警備体制を敷かれた=20日午後、尼崎市内(画像の一部を加工しています、撮影・小林良多)

 衆院選の街頭演説で、要人らへの警護が一段と厳しくなっている。最近の国政選挙で首相経験者が相次いで襲撃されたことを踏まえたもので、19日には自民党本部や首相官邸が狙われる事件も発生した。政党幹部が有権者と直接触れ合うことで親しみやすさをアピールする従来の選挙手法と、テロ行為の阻止に万全を期す警護態勢との両立は簡単でなく、現場は苦慮している。

 「本当は、もっと近くでお話ししたいのです。しかし、昨日もまた物騒なことがありました」

 人出を求めて各陣営が街頭に繰り出す「選挙サンデー」の20日夕、JR尼崎駅前のロータリー。与党連立を組む公明党の選挙カーの上でマイクを握った石破茂首相は冒頭、そう切り出した。

 目線の先、20メートルほど離れた鉄柵越しのエリアに固まる支持者らは、党関係者らによる金属探知機のチェックをクリアした人たち。石破首相の背後には黒い防弾板が取り付けられ、ロータリーはバス以外の車両が通行できないよう封鎖されていた。