復刻された純金製「水戸虎銭」の虎の姿が描かれた面(水戸市提供)
 復刻された純金製「水戸虎銭」の虎の姿が描かれた面(水戸市提供)

 水戸市が、幕末に水戸藩で鋳造されていたと伝わる銅銭「水戸虎銭」を復刻した。市によると、躍動感のある虎が表現された実物はコイン収集家に人気が高いといい、ふるさと納税返礼品として純金製と銀製を用意。担当者は「大規模に造られていたとされており、歴史に思いをはせてほしい」と話す。

 水戸虎銭は円形で中央に四角い穴が開き、虎の姿を描いた面と「富国強兵」の文字が刻まれた面がある。市によると、幕末に銭貨を鋳造する「銭座」の完成記念に発行され、徐々に職人に賃金を支払うため藩内で流通していったとされる。「金運」を象徴する虎のほか、当時の水戸藩では外国と対抗する必要性が唱えられており、富国強兵の文言が採用されたとの説がある。

 市は新たな返礼品を考える中、水戸虎銭に着目。常陽銀行(同市)の常陽史料館が所蔵する銅銭を基に、2025年秋、市内の老舗宝石店「ジュエリーネモト」の職人が復刻品の加工を手がけた。虎の毛並みを忠実に再現するため、約2カ月かけて仕上げたという。