赤穂市民病院=赤穂市中広
赤穂市民病院=赤穂市中広

 兵庫県の赤穂市民病院(同市中広)で受けた手術中のミスで両足に重度のまひが残ったとして、患者の女性(80)と家族が同市と執刀医に慰謝料など計約1億4200万円の損害賠償を求めた訴訟で、神戸地裁姫路支部(池上尚子裁判長)は14日、被告側に計約8900万円の支払いを命じた。

 判決によると、2020年1月、女性の腰椎の一部を切除する手術で、執刀医だった松井宏樹医師(47)が誤って神経を切断。女性は両足に重度のまひが残る後遺障害を負った。

 池上裁判長は、執刀医の「注意義務違反の程度は著しい」と厳しく批判。病院側の対応にも「迅速に説明を尽くしたと評価するには不足がある」と指摘した。

 松井医師は19年7月の着任後、約9カ月間に携わった手術で計11件の医療事故があったとされる。ただ池上裁判長は「病院による監督、安全管理として、手術をさせるべきでなかったとまではいえない」とした。

 判決後、会見した原告代理人の若宮隆幸弁護士は「過失と結果の重大性、事後対応の悪さが一定程度認められた」と評価。一方で「松井医師に手術を任せられる技量がなかったと踏み込んだ判断をしてほしかった」と話した。

 同病院は「真摯に受け止め、市民の信頼回復に努めたい」とコメントした。

 松井医師は21年8月に依願退職。女性に対する業務上過失傷害罪で昨年12月、神戸地検姫路支部に在宅起訴された。