高市早苗首相との面会後に記者会見する拉致被害者家族会のメンバー=23日午後、東京都千代田区
高市早苗首相との面会後に記者会見する拉致被害者家族会のメンバー=23日午後、東京都千代田区

 北朝鮮による拉致被害者の家族ら15人が23日、高市早苗首相と首相官邸で面会した。神戸市出身の有本恵子さん=失踪当時(23)=の姉妹2人も初めて参加。拉致被害者家族会によると、2人は首相に対し、2月に亡くなった父、明弘さんの遺志を継いで活動に参加したことを明かし、早期解決を切実に訴えたという。

 高市首相は面会の冒頭、「拉致問題の本質は国家主権への侵害」と指摘。「あらゆるチャンスを逃さない」と語り、トランプ米大統領との連携や、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との首脳会談実現に意欲を示した。

 明弘さんは三女の恵子さんと再会を果たせないまま、2月に96歳で死去。明弘さんは生前、救出活動への参加は「(有本家では)わしで終わりや」と話していたが、2人はこのほど家族会に参加した。

 横田めぐみさん=拉致当時(13)=の弟で、家族会代表の拓也さんは面会後の会見で、有本さんの姉妹2人について「首相に直接問題の切迫な状況を伝えられたのは意味があった」と説明。近く予定されているトランプ氏の来日にも触れ、「明弘さんはトランプ大統領から手紙をもらっていた。2人が『私たちは今も戦っている』と伝えれば、日米の絆が強まる機会にもなる」と語った。

 また、拓也さんは高市首相の印象を「国家観を強く持たれた方」と評価。別のメンバーも「高市首相なら解決してくれるんじゃないか」と期待感を示した。(末永陽子、名倉あかり)