双子や三つ子などの「多胎児」を育てる家庭を支援する団体「ひょうご多胎ネット」が発足20周年を迎えた。行政と連携した子育て教室などを通じ、多胎育児ならではの悩みやノウハウを分かち合い、親たちの孤立防止のよりどころにもなっている。24日に神戸市西区で記念イベントを開き、当事者や関心を寄せる人たちの交流を図る。(岩崎昂志)
今月上旬、神戸市須磨区役所の「多胎児子育て教室」には、双子を育てる母親や妊婦ら3組が集まった。
「双子の授乳は本当に時間がかかる。後はおむつ替えで一日が過ぎていく」「うちは外出時は液体ミルクにも頼るよ」。参加者は何度もうなずきながら互いの体験談を紹介。沐浴、寝かしつけ、ベビーカー選び…。双子ならではの苦労と解決案を語り合う。
同教室は神戸市が7カ所で運営し、ひょうご多胎ネットが協力。参加した須磨区の佐田侑奈さん(28)は生後8カ月の双子を含む4人きょうだいの母で、「双子のママ同士の会話は共感の深さが違う。理解してもらえる安心感がある」と話す。
国内で多胎児を出産する割合は約100人に1人とされる中、保護者らの孤立防止は課題の一つだ。出産直後から双子らを同時に育てる目まぐるしさに直面し、周囲に相談できずに心身ともに疲弊するケースが少なくないという。
ひょうご多胎ネットは、多胎育児の経験者らが中心となり2005年12月に発足。兵庫県内各地の当事者団体などをネットワーク化して情報共有するほか、各種支援制度の発信や相談窓口なども担う。新型コロナウイルス禍を機にオンライン交流会も実施している。
代表の天羽千恵子さん(63)=神戸市西区=も双子を育てた経験がある。多胎児の親が孤立すると虐待やうつのリスクが高まるとし、「実際に深刻な悩みがいくつも寄せられる。同じ立場で話せる場が命を救う」と強調する。
過去20年で多胎児家庭への社会の理解も徐々に進み、20年度から国による支援事業も始まった。兵庫県は22年度から、外出支援として育児用品の購入支援などを行っている。
現在、ひょうご多胎ネットではより早期からの支援に力を入れ、16年度から多胎妊婦向けの産前教室を開催。育児情報の提供や不安解消に取り組み、天羽さんは「早い段階で情報があれば早く(子育てが)楽になる。苦労も多い多胎児の子育てだからこそ、世界が広がる素晴らしさも伝えたい」と話す。
■神戸で周年記念催し
ひょうご多胎ネットの20周年を記念する催し「つながる絆 ひろがる笑顔!」は24日午後1時半~4時、神戸市西区の玉津庁舎内「玉津のつどい場 たまろっと」で開かれる。
魚釣りゲームや大人向けのハンドマッサージ、液体ミルクの試飲などの体験コーナーを設置。親子で楽しめるコンサートや読み聞かせもある。
入場無料、記念品あり。事前予約が望ましいが、当日参加も可。ひょうご多胎ネットのホームページ=QRコード=や、インスタグラムから、入力フォームで申し込む。
























