道の駅「村岡ファームガーデン」（兵庫県香美町村岡区大糠）の自慢は何といっても但馬牛。たんばと読みがちですが、「たじまうし」もしくは「たじまぎゅう」と読みます。生きてるときは「たじまうし」、肉になったら「たじまぎゅう」です。

　施設内にある「たじまビーフレストランＭＯＷ（モウ）」には、但馬牛を使ったメニューがいくつも並びます。中でもイチ押しは「たじま牛ハンバーグ」です。肉感とハンバーグの折り合いを付け、限りなくステーキに近づけた「ハードバーグ」と、長芋がたっぷり入ってふわふわ食感の「ソフトバーグ」。ステーキだとどうしてもお値段が張ってしまいますが、これで手軽に但馬牛を味わうことができます。食べ比べできるハード＆ソフトのハーフセットがあるのも嬉しいですね。

　スキーシーズンの今、どこのスキー場のリフト券でも会計時に提示すれば、１０％引きに。売店でもリフト券を提示の上、千円以上お買い上げいただくと、なんと但馬牛コロッケを１個サービス。当日の日付でなくてもいいそうなので、ぜひご利用ください。

　駅長の西村学さん（４７）は、地元・村岡のご出身。実家はハチ北高原スキー場にある民宿で、幼いころから接客業を間近に見て育ったそう。民宿はお兄さんが継ぎ、西村さんは新温泉町の旅館に就職。１１年たったとき、もっと地元に恩返しできて、村岡のためになる仕事に就きたいという思いが強くなり、それには道の駅が一番と、ここ村岡ファームガーデンで人生の第２幕が開きました。一つ一つ丁寧に言葉を選ぶ姿に誠実なお人柄がうかがえます。

　「但馬牛が自慢ですが、ほかにも美方大納言小豆や、今までに全国的なコンクールで何度も受賞している村岡産のコシヒカリも自信を持っておすすめできます」と西村さん。

　確かに「但馬村岡米」のほっこり幸せを感じるおいしさにはいつも感動しますし、美方大納言を主原料に、地元の名水「かつらの千年水」を使用して作られたきんつばのしっとり上品な甘味も素晴らしい。「あかりファクトリー」の「あずきミルクコンフィチュール」も必ず喜ばれるお土産の定番です。「トキワ」の「べんりで酢」も村岡限定のよしばあちゃんラベルが大人気。古い農機具が飾られた店内は博物館のようでもあり、どこか懐かしい道の駅です。

　平日はレストラン午前１１時（喫茶は同１０時）～午後３時。売店などは午前９時～午後５時。土日祝日はレストラン午前１１時（喫茶は同９時）～午後６時。売店などは午前９時～午後６時。村岡ファームガーデンＴＥＬ０７９６・９８・１１２９

■但馬牛６１部位食べ比べに挑戦　究極のおいしさに感動

　「たじま高原植物園」（香美町村岡区和池）の３月中旬までの季節限定「かまくらレストラン」では、但馬牛６１部位の食べ比べ（要予約）に挑戦しました。２人前３万円となかなか勇気のいるお値段ですが、食べ終えた今、究極のおいしさに出合った感動にむしろ安すぎると思うほどです。

　ここでは但馬牛の中でも最高品質の「但馬玄（たじまぐろ）」という「上田畜産」のブランド肉を使用しています。脂の溶ける温度が一般的な肉よりも低く、口に入れた瞬間とろけて、もたれることがありません。特注の但馬牛プレートにその部位ごとに並べられたお肉の美しさはまさに芸術。支配人の石原亮さん（３８）が丁寧な仕事をされているのが伝わります。おいしく食べる秘訣は、霜降りの後は赤身、タンの次はホルモン、といったように今食べた肉から離れた部位を選ぶこと。常に新鮮な驚きを楽しめます。

　今回は、独学で但馬牛を学んだという石原さんのおすすめの順番で食べ進めました。豊富な知識と素晴らしいトーク力で解説いただき、すべて食べ終わるまでに３時間以上とぜいたくな時間を過ごしました。なんとなくかまくらの中は暖かいイメージがあると思いますが、ヒーターを使うと雪が溶けてしまうのでだいぶ寒いです。こたつの導入は考えているそうですが、それまでは防寒をしっかりしてお楽しみください。

　正午～午後９時（ラストオーダー同８時）。水、木曜定休。たじま高原植物園ＴＥＬ０７９６・９６・１１８７

　　　　　◇　　　　　◇

　俳優・河合美智子さんが取材・執筆し、但馬各地の「道の駅」を深掘りしていきます。

【連載一覧】
（１）道の駅「フレッシュあさご」　絶品！岩津ねぎ料理
（２）道の駅「神鍋高原」　ご当地サーモン、深い味わい
（４）道の駅「但馬のまほろば」　お土産が豊富　新鮮野菜も
（５）道の駅「但馬楽座」　宿泊施設と天然温泉が人気
（６）道の駅「浜坂の郷」　「浜坂地えび」に感激、地元食材の料理が充実