日本の野生コウノトリは、豊岡市が最後の生息地となり、1971年に絶滅した。旧ソ連から譲られた幼鳥を人工繁殖させて2005年に同市で5羽を初放鳥した結果、自然繁殖などが進み、25年11月末時点で全国に550羽超に増えた。野生復帰は20年でどう進み、どこに向かうのか。(阿部江利)
25年夏は「数十年に一度」の記録的猛暑となった。豊岡市では71年、7、8月の平均気温は26・1度だったが、半世紀余りを経た7月は29・4度、8月は28・6度に上昇し、気象庁の国内最高気温ランクで何度も1位となった。7月の降水量は平年値の10分の1程度にとどまり、円山川流域の水田では一時、水が消えた。
同市百合地地区の営農組合代表、北垣裕次さん(77)は7月初旬、汗をしたたらせながら田を見つめた。「昔は夕立で気温が下がったが、降らなくなって地温も下がらない」
地区にはコウノトリ初放鳥2年後の07年、野生のつがいが初めて自力でひなをかえした人工巣塔がある。営農組合は当時から、コウノトリのえさとなる魚や昆虫などが育つ無農薬、減農薬の「コウノトリ育む農法」に取り組んできた。
□ □
日本の経済成長期、農業で重労働からの解放や生産性向上のため、農薬が使われ、コウノトリのえさとなる生き物は減った。























