出征が決まった松村繁夫さんが、家族に残した手紙や遺書=加古川市内
出征が決まった松村繁夫さんが、家族に残した手紙や遺書=加古川市内

 太平洋戦争では、身重の妻らを残して戦地に赴き、帰らぬ人となることもあった。松村繁夫さんは加古川市米田町の妻の実家から1943年9月に出征し、44年1月に長男が誕生。しかし、33歳だった同年12月、フィリピンのルソン島で消息不明となって終戦を迎え、「戦死」とされた。松村さんは出征に際し、家族に手紙や遺書を残していた。今年81歳を迎えた長男は「目を通すたび、父が戦地から帰って来てくれたように思える」という。(増井哲夫)