戦後の帰還事業で北朝鮮に渡り過酷な生活を強いられたとして、脱北者ら4人が北朝鮮政府に計4億円の損害賠償を求めた訴訟で、差し戻し審の第1回口頭弁論が29日、東京地裁であった。原告側は「『地上の楽園』で人生が地獄に変えられた」と訴え、即日結審した。判決は来年1月26日。
原告側代理人が意見陳述し、それぞれの生い立ちや北朝鮮に渡った経緯を説明。地上の楽園と宣伝されて渡ったが、電気や水道などが整っていない環境で、病気になっても薬もないまま苦しむほかなかったと明かした。
原告側によると、北朝鮮側は差し戻し前の一、二審に続き、差し戻し審でも答弁書などを提出しなかった。
2023年10月の差し戻し前の東京高裁判決は、北朝鮮が「地上の楽園」などの虚偽の情報で渡航させ、出国を許さなかったことを「一つの継続的不法行為」と判断。一連の人権侵害は渡航前から始まっており、損害の管轄権は日本の裁判所にあると認めた。管轄権が日本側にないとして請求を退けた一審判決を取り消し、審理を差し戻した。

























