鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたH3ロケット8号機が残した白煙=22日(共同通信社ヘリから)
 鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたH3ロケット8号機が残した白煙=22日(共同通信社ヘリから)

 H3ロケット8号機の打ち上げ失敗について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)関係者は23日、文部科学省宇宙開発利用部会の緊急会合で、衛星カバーの分離が起点になった可能性が高いとの見方を示した。分離時の衛星搭載部の加速度が、従来よりも大きかったという。周辺状況も含めてデータを精査し、原因究明を進める。

 JAXAによると、飛行中に実施した衛星カバーの分離を境に、水素燃料のタンクの圧力が急激に低下した。2段目のエンジンは2回燃焼させる計画で、1回目は想定より出力が弱く、燃焼は長く続いた。2回目は非常に短時間でエンジンが停止した。搭載していた衛星の状態は分からないままだという。

 松本洋平文部科学相は閣議後の記者会見で「安定的な運用に向けて早急に対策に取り組み、国内外の信頼を取り戻すことができるよう全力を尽くす」と述べた。

 小野田紀美宇宙政策担当相は会見で、今後の宇宙開発の指針を示す政府の宇宙基本計画工程表を決定したと発表した。失敗以前の議論をまとめたもので、原因究明を待って今後の計画を検討する。