近年の選挙は交流サイト(SNS)の影響力が増している。今回の衆院選は異例の短期決戦とあって、政党や候補者の訴えを直接聞く機会が限られ、SNSなどを通じ情報を得ようとする有権者も多いだろう。
しかし、SNSにはしばしば偽・誤情報が紛れ込む。外国人政策などを巡り極端な主張も広がりがちだ。生成人工知能(AI)の普及により、虚偽の動画も拡散されている。現状では規制や対策は十分ではなく、有権者はSNSの特性を理解した上で、多様な情報に目を向けて投票の判断に活用したい。
昨年の参院選では、SNSや動画サイトを駆使した政党が議席を伸ばした。一昨年の兵庫県知事選や昨年の宮城県知事選では、SNS上に真偽不明の情報や誹謗(ひぼう)中傷が飛び交い、投票行動に影響を及ぼしたとされる。
与野党はSNS規制の法制化に向けた議論を進めているが、結論が出ないまま、選挙戦に突入したのは残念だ。憲法が保障する表現の自由を考慮しつつ、選挙関連の投稿を収益につなげない規制を検討するべきだ。
今回、政府はSNS運営事業者に対し、偽・誤情報の削除申し出に迅速に対応するよう要請したにとどまる。すでに高市早苗首相や中道改革連合などに関し、印象低下を狙う情報が広がった。SNSで中傷を受けたとして告訴を検討する候補者もいる。事業者の対応は当然だが、政党やメディアも注意喚起などの役割を果たす必要がある。
留意したいのは、SNSが社会全体の考えを映すとは限らないことだ。一部の熱心な人の意見が拡散し、盛り上がる傾向がある。好みの情報ばかりが表示され、似通う意見に囲まれる特徴も指摘される。有権者はうのみにせず、複数の情報源に接する姿勢が欠かせない。
兵庫県知事選などで有効な対策を打ち出せなかった反省から、新聞などのメディアが政党や候補者の主張の真偽を検証する「ファクトチェック」を本格化させている。短い選挙期間で全てを監視するのは難しいが、選択の参考にしてほしい。
信頼できる情報を冷静に見極めて投票することで、民主主義の根幹である自由で公正な選挙を守っていきたい。























