候補者らの訴えに耳を傾ける有権者=宝塚市内
候補者らの訴えに耳を傾ける有権者=宝塚市内

 無党派層が多く、その時々の「風」で、当選者がころころ変わる。関係者から「恐怖の選挙区」と呼ばれるのが、衆院選の兵庫6区(伊丹市、宝塚市、川西市南部)だ。今回は高市人気の追い風を受ける与党に対し、組織を固めて対抗する新党などが火花を散らす。選挙戦は8日に投開票を迎える。(土井秀人、貝原加奈、池田大介)

 「背水の陣」。6期目を目指す自民党前職の大串正樹氏(60)は公示前、陣営の選対会議で今回の戦いをそう表現したという。直近2回は比例復活に甘んじ、さらに公明党の支持母体・創価学会の支援を失った。

 前回選は裏金問題のあおりで厳しい選挙戦を強いられたが「今回は街頭での感触がいい。車の窓を開けて手を振ってくれる人さえいる」(陣営関係者)。ただ、陣営は世間で言われるほどの高市人気を実感できていないという。

 それだけに緩みを危惧する。「こういう時が一番危ない。支持者が『もう大丈夫』と投票に行かない可能性がある」。最終盤に入り、投票の呼びかけを入念に続ける。

 急な選挙のため、公明票をカバーするだけの手が打てていないのが実情だ。風になびく無党派層が鍵を握るとみており、陣営幹部は「安倍さんの時の選挙は勢いを感じた。今回はそこまでではない。油断すると、えらいことになる」。票の上積みに余念がない。

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 立民と公明が中道改革連合を結成したのは、公示日のわずか11日前。急転直下の決定に、立民出身の前職桜井周氏(55)の陣営にも懸念が広がった。「超短期決戦で創価学会の末端まで本当に浸透できるのか」

 そんな疑念をよそに、公示日の先月27日、公明側は組織力を見せつけた。桜井氏の第一声には支持者約300人が参集。立民を支援する労働組合が動けない平日の昼間は、街頭に動員して盛り上げた。

 だが、陣営が手応えを感じ始めた直後、報道各社の情勢調査が冷や水を浴びせる。一気に危機感が高まり、今月5日、前公明代表で中道の斉藤鉄夫共同代表が選挙区入りし、連合の芳野友子会長までも異例の応援演説に立った。

 陣営関係者は「街頭ではかつてないほどビラがはけ、声をかけてもらい、人が集まる。だが、手応えほど票は固まっていないのでは」と不安を募らせ、無党派層への浸透を図る。

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 先月29日、阪急宝塚駅前。日本維新の会前職の市村浩一郎氏(61)のもとに、吉村洋文代表が駆けつけた。マイクを握ると、歯切れのいい物言いに人だかりができた。

 兵庫6区は大阪への通勤者が多い地域で、大阪に次ぐ維新の「地盤」でもある。大阪府知事・市長の出直しダブル選のさなかで、吉村氏は大阪・関西万博の実績をアピール。聴衆の中には握手やサインを求める人もおり、党の「顔」として人気の高さを見せつけた。

 昨年10月に連立入りしたが、自民との選挙協力はなく、与党対決を展開する。陣営関係者は「選挙区調整を行っておらず、高市人気は期待していない。前回は県の文書問題への対応で批判されたが、今回の手応えは悪くない」としている。

 参政党新人の谷浩一郎氏(44)は先月末、阪急宝塚駅前で神谷宗幣代表と並び立ち、広場を埋めた聴衆に外国人問題などを訴えた。躍進した昨夏の参院選では自民から保守層を引き寄せたが、高市人気による揺り戻しも指摘される。

 共産党は中道の結成で、原発問題や安全保障政策の立ち位置がより際立つ存在に。新人の吉見秋彦氏(51)は護憲など革新勢力の重要性を訴え、リベラル層の取り込みを図る。

兵庫県内の立候補者一覧