虚と実(撮影・鈴木雅之)
虚と実(撮影・鈴木雅之)

 一つのことをずっと続けることがどうにも性にあわない、と気づいたのはずいぶん昔だったと思う。飽き性と言おうと思えば思えるのだけど、それだけでもないような気がする。一つのことをやる中で、それを進めていくと、別の判断をした可能性についてずっと考えてしまうのだ。だから、だいたい小説も二つくらい並行して書いているし、仕事もどれが本業なのか、明瞭ではない状態で日々働いている。道を追求するのが美徳とされる、古典的な日本の感性からすると、あまり褒められた者ではないかもしれないけれど、性分というのはなかなか変えられないものだ。