普段は「幸ちゃん」と呼んでいる
普段は「幸ちゃん」と呼んでいる

「同居猫が私の膝上で寝ていると、『自分の場所が塞がってますけど?』みたいな感じで、私と膝上の猫を交互に見るのがかわいいです」

飼い主がばどんさん(@GavadonA21010)は、17歳になった愛猫・幸之丞(ゆきのじょう)くんの愛くるしさを、そう話す。

幸之丞くんは2008年9月中旬に、姪っ子の友人宅で保護された子。保護当時は、生後1カ月半ほど。パンと一緒に段ボールに入れられ、遺棄されていた。

■姪っ子の友人宅に遺棄されていた子猫をお迎えて…

姪っ子から連絡を受けた飼い主さんは、幸之丞くんを引き取ろうと決意した。体重は500gと平均的だったが、体にはノミが…。幸せになってほしいという願いを込めて「幸之丞」という名前をプレゼントした。

保護した時は離乳が済んでいなかったため、猫用ミルクを授乳。ただ、ミルクが必要な期間は短く、幸之丞くんは離乳食やドライフードにもすぐ口にしてくれたので、あまり手がかからなかったという。

「お迎え時から、ずっとおっとりとしていて甘えん坊でしたが、2匹目をお迎えしてから、甘えん坊度が少しだけ上がったような気はします」

かわいい甘え行動は就寝前にも見られる。幸之丞くんは「僕を見て」という気持ちからか、寝る前、左向きで読書する飼い主さんの左側に来て、まったり。飼い主さんが本を閉じて寝る体勢になると、布団に入り直す。

「毎日する行動なので当たり前のように思っていましたが、よく考えたらすごくおもしろい習慣ですよね(笑)」

ただ、幸之丞くんが甘えるのは飼い主さん限定。同居猫とは10年以上、付かず離れずの距離感を保っていた。

「距離感が変わったのは、2021年に3匹目の子を迎えてから。3匹で一緒に寝るようになり、猫団子が見られて幸せです」

■17歳の愛猫にしている“健康ケア”と長寿への想い

幸之丞くんは、これまで大きな病気にかかったことがない健康優良児だ。ただ、飼い主さんは生命力の強さに感心しつつ、健康維持のために様々な工夫をしている。6年ほど前には獣医の勧めで、普段のフードを腎臓ケアに切り替えた。

また、市販の猫用おやつをあげることをやめ、野菜が大好きな幸之丞くんのために、キャベツや茹でたブロッコリーの茎を少量あげるようになったという。

「夏は水分補給を兼ねて、猫用ミルクをあげています。キャットタワーは段を下げて足腰への負担を軽減しましたが、基本的には好きなように過ごさせています」

このまま、健康で穏やかな生活を続けさせてあげたい。そう話す飼い主さんは愛猫が20歳を迎える日を夢見て、これからも必要な心身へのサポートを行っていく。

「初めて迎えた猫だったので、最初は不安や心配がありましたが、すぐに懐いてくれて、それからずっと一緒にいてくれて、ありがとうって思っています。人間のエゴというのは承知していますが、幸ちゃんもうちに来て幸せだと思ってくれていたら、それだけでいいとも思います」

人間家族と猫家族、両方のぬくもりを知り、穏やかに暮らす幸之丞くん。幸せな日々が、この先も長く続いてほしい。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)