芸能人から突如セクシー女優デビューするたびに、業界には震撼が走ります。知名度が高いほど驚きは大きく、ファンからすると目玉が飛び出るような出来事です。
最近はビデオ出演だけに留まらず、キャバクラやラウンジなどの飲み屋や大人のお店への進出も進み、周りの人をさらに驚かせるタレントが結構多いとか。本人が望んだ形なら良いのですが、「転落劇」にハマれば地獄です。元ファンはきっと悲しい気持ちになるでしょう。
キラキラ芸能人の人生を歩める人は、ほんの一握り。頃合いを見て別方面への転向を考えられたら道は開けるのでしょうが、一歩間違えると「なぜこうなった?」という落とし穴に落ちてしまいがちです。
■芸能からセクシー女優へ転身する理由
ビデオ業界には芸能人専門メーカーが存在するくらいなので、タレントからセクシー女優へ転職する人は昔から一定数います。
最近では元子役や元アイドルが急増し、ネームバリューが高い人でないと専門メーカーの面接を突破できないくらい、業界には肩書きを持つ女性がとても多いですね。何もない状態でセクシー女優という職業に挑む人が減ったので、「元芸能事務所所属」だけで強くプッシュできる時代ではありません。
芸能から女優へ移る理由は収入、新しいステップを踏みたいなど本当に様々。子役から芸能人生をスタートさせ、ある年に女優デビューしたAさんは業界入りのきっかけをこう語ります。(以下「」内、Aさん談)
「小学生の時からずっと事務所には入ってて、ドラマのチョイ役をもらったり、モデルやアイドルなどの仕事をしていました。でも中高生になっても大きな仕事がもらえるわけではなく、そのまま20代へ突入したので先が不安になり……。25歳くらいの時にちょうど話がきて、覚悟を決めてセクシー女優の道を選んだのです」
芸歴があることから、彼女は芸能人専門メーカーのデビューを狙っていました。しかし、これといった代表作がなく、定期的なテレビ出演などが少ないために面接は不合格。協議と事務所プッシュのもと大手メーカーでの専属が決まり「元〇〇」の肩書きで無事に転職を成功させます。
■セクシー女優からさらに「前へ進む」のはなぜ?
そんなAさんはセクシー女優を引退しており、現在は銀座のクラブでバイトをしながら海外出稼ぎで生計を立てているそう。女優時代はそこそこの数字を持っていたのにも関わらず、なぜ引退をしたのでしょうか。
「しばらく専属ではいられたんですけど、やっぱり数字は下がっていくじゃないですか。案の定ギャラ下げの打診があり、気分的にマンネリしてきちゃって。その時に海外出稼ぎの誘いを受けたのも関係し、“そっちの方が稼げるじゃん!”って飛びついたんですよ。稼働力少なく高収入を手にできるので、段々と女優業から遠ざかったのが引退のきっかけです」
女優業だけでのギャラが100万円程度に落ち着いた時、海外出稼ぎを始めたら収入は300万、500万円とうなぎ登り。「元芸能人&現役セクシー女優」の肩書きをビデオ業界よりも活かせたおかげで、彼女はそちらに魅力を感じてしまいます。
また、セクシー女優で活動し続けても頻繁にテレビに出られるわけではありません。衛星放送やYouTubeの声が掛かっても、題材はもちろん“オトナ向け”。Aさんはかつての経歴が忘れられず、自身がすっかり「お色気要員」になった現実にも葛藤があったそう。
「自ら進んで女優になったけど、普通のドラマや雑誌への出演が忘れられなかったんですよ。セクシー女優になっても呼ばれる枠は限られてるし、メッチャ売れないと枠の外に出るのが難しい。ある程度のところまで進んだら“詰んだ”気がしたので、やめました。
お金はもっとほしいし、今さら普通の仕事に就く気もない。いろんな葛藤があって答えが出ないと、とりあえず目の前のお金ばかり追ってしまうので……。私みたいにパパ活、水商売、海外出稼ぎみたいな流れになりがちですよね」
本当は自身の肩書を活かし、今の状態を抜け出したいのだとか。夜職は今後を見据えた資金作りも兼ねているため、Aさんの悩みがスカッと晴れる日が来るのを祈るばかり。落とし穴に自らハマる人もいますが、「不本意」なパターンも少なくはありません。どうしていいか分からないから今の生活を続けるものの、本音はみんなキラキラと輝きたいのです。
ただ、キラキラとした輝きの裏は大抵真っ黒だから難しいものですね。光と闇は紙一重だからこそ、栄光を掴みたい人は頭をフルに使い、一工夫凝らさねばあっという間に落とし穴……ということです。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。