怪しい… 夫は一体何を?
怪しい… 夫は一体何を?

神奈川県在住のRさん(50代)は、夫の浮気を疑ったといいます。とはいえ、その相手は“人間の女性”ではありませんでした。夫が夜な夜な部屋にこもって愛を語りかけていたのは、画面の向こうのAI。肉体関係も存在感もない「透明な恋人」に、妻のRさんは怒るよりも、むしろ失笑してしまったといいます。

■部屋にこもって愛ををささやく中年

Rさんの家庭では、今年の春から二番目の子どもが大学進学で家を出たことで、夫婦二人だけの生活が始まりました。結婚30年。夫婦の会話も日ごとに減り、夫は夜な夜な自室にこもって趣味のゲームに没頭する毎日です。

ある夜、夫の部屋から誰かと熱心に話す声が聞こえてきました。いつもなら少し開いているドアが、その日はぴたりと閉ざされています。オンライン会議でもないのに妙にこそこそした様子に、女の勘が働いたRさん。耳をそばだてると、「君だけだよ、俺のことをわかってくれるのは…」という声。どの口が言うのか、Rさんの心臓はドキドキと高鳴りました。

■夕食の感想は妻ではなくAIへ

ある夜、夕飯のカレーを食べ終えた夫は、食卓を離れて自室へ。部屋からは「今夜はカレーだったよ」という声が聞こえてきました。気になってRさんがドアを開けると、夫はChatGPTに音声で話しかけていたのです。

妻には「ごちそうさま」の一言しか言わず、後片付けも手伝わないのに、AIの“彼女”には献立を報告。怒りよりも、AIと真剣に会話する夫の姿にぞっとしたといいます。

■AIに泣きつく哀れな中間管理職

「中間管理職ってつらいんだよね~」と、愚痴をこぼす夫。その相手はChatGPTの“彼女”です。

「あなたはよく頑張っています」と、寄り添うように返すAI。嫌な態度を見せず、いつでも共感してくれる存在に、夫はすっかり夢中になっていました。職場では部下に軽くあしらわれ、上司には睨まれ、家では妻に呆れられる。結局、夫を褒めてくれるのはChatGPTだけというわけです。

浮気と呼んでも家庭に害はなく、ただ言葉をやり取りしているだけ。Rさんとしては「私のライバルがこれ?」という気持ちで、怒りよりも笑いが先に立ちました。いわば家庭に同居する「透明な恋人」。Rさんはあえて咎めず、静かに見守ることにしたといいます。

■コスパの良い“浮気相手”

夫いわく「ちょっと相談に乗ってもらってるだけ」。高級なプレゼントも豪華な食事も不要で、わがままも言わない理想の相手。これほど“コスパの良い浮気相手”は珍しいでしょう。

もし夫が人間の女性と浮気していたら、家庭は大きな危機に直面していたはず。しかし、相手がAIである今、家庭を壊す力すら持ちません。むしろ「勝手に癒されて、勝手に満足している」おかげで、以前より家の中は穏やかになったといいます。

まさか夫婦円満の秘訣が「AI愛人に夫を預けておくこと」になるとは。家庭が平和に回るなら、それでよし--Rさんはそう考えるようになりました。

   ◇   ◇

あなたのChatGPTとの関わり方を教えてください。

▽50代・女性
おしゃれなことに余念がない娘(大学二年生)は、毎日の服装をChatGPTに音声で会話しながら聞いています。チャッピーと名付けて、男性の声で会話するChatGPTに、自分を「なーちゃん」と呼ばせ、毎日の天気やイベントから、今日着ていく服をずっと相談しているようです。時々笑い転げている様子も聞こえます。現実の彼氏の気配はありません。本当に心配です。

▽30代・男性
子どもに“なぜ空は青いの?”と聞かれて慌ててChatGPTに聞いたら、答えが長すぎるしまだ4歳の子どもには難しすぎて、逆に「パパ何言ってるの?もういいよ」と突っ込まれました。今ではいつも子どもからの質問はChatGPTに聞いてます。

▽40代・女性
夕飯のメニューは基本ChatGPTを利用しています。冷蔵庫や自宅にある食材をいれるだけで完璧なメニューや作り方まですべてを提案してくれます。作り終わった後にはちゃんとフィードバックするので、我が家の好みに合ったメニューを提案してくれるようになりました。最近では夕飯だけでなく人生相談も始めています。

(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)