語尾が上がる口調で「いらっしゃいませぇ~!」(ミヤギトオルさん提供)
語尾が上がる口調で「いらっしゃいませぇ~!」(ミヤギトオルさん提供)

それぞれの飲食店で接客の形は異なりますが、どの店舗でも慣れるまでが大変なものです。漫画家・ミヤギトオルさんの作品『上京してきたウェイトレスの話』では、接客に奮闘するアルバイトの姿が描かれています。同作はInstagramに投稿されると、約1.4万ものいいねを集めました。

『カフェ赤煉瓦』に最近入ってきたアルバイトの愛は、客に「いらっしゃいませぇ~!お決まりになりましたらお声がけください!」と威勢のいい挨拶をします。それを見たマスターは愛を呼び止め「とってもいい接客なんだけど、ちょっと居酒屋っぽいかな…」と伝えました。

実は愛はずっと大衆酒場でアルバイトをしていたようで、その癖が抜けきっていないようです。マスターは「元気の良さはそのままで、『いらっしゃいませ』の語尾を伸ばさず丁寧に言うといいよ」とアドバイスをします。

愛は「『いらっしゃいませ』ですね、わかりました」とマスターとともに練習します。しかし客から注文が入ると、愛は「ハイただいまー!」と威勢よく飛び出していきました。マスターは「やっぱり居酒屋っぽいな…」と思いつつ、コーヒーを淹れ始めるのでした。

この投稿にSNS上では「愛ちゃんはこのままでいい!」「マスターの指導が素晴らしすぎる」など、双方に賛美の声があがっています。そこで作者のミヤギトオルさんに話を聞きました。

■別職種で培った接客は親しみやすさにつながる

-同作を描くにあたって、きっかけなどありましたか。

以前ネタ出しをしていた喫茶店で元気な声で「いらっしゃいませ~」をいう女性の店員さんがいて、その人を見て発想しました。居酒屋っぽいわけではなかったですが、きっぷのいい感じの女性で、溌剌としていて良い店員さんだなと思いました。

 -喫茶店に限らず、お店の雰囲気に合わなさそうな応対などをみたことはありますか。

以前付き合いで銀座のバーに行った時、おしゃれな店内にとても緊張したのですが、カウンターに立つマスターが、銀座のバーらしからぬ親しみやすさを醸しているお兄さんで、緊張がほぐれました。

話を聞くと元マクドナルドの店長さんだということで、「いらっしゃいませ」や注文の取り方も、どうりで親しみやすいわけだ。と思いました。お店にはそのお兄さんお手製のハンバーガーもメニューにあって、注文して食べましたがとてもおいしかったです(銀座にある「Vault」(ボルト)というお店です)。

-読者へのメッセージを。

現在webマガジン・ミライのアイデアにて「不思議ヶ丘の人々」を連載中です。「鬼姫神社通り商店街」もKindleで好評発売中ですので、気になった方はどうぞお手に取ってみてください。

(海川 まこと/漫画収集家)