山道で発見された当時、ひどく衰弱していたルナちゃん(画像提供:なちゅふぉとさん)
山道で発見された当時、ひどく衰弱していたルナちゃん(画像提供:なちゅふぉとさん)

昨秋、インスタグラマー・なちゅふぉとさん(@nachi_photo)夫婦は、出先で力無く横たわっている子猫をみつけました。のちの家族となる、キジトラ猫の「ルナ」ちゃんは、当時、生死をさまよう危険な状態だったといいます。

■灼熱の山道で出会った小さな命

2024年9月19日、飼い主さん夫婦は早朝から山歩きに出かけました。当初の予定では滝探しもするつもりでしたが、気温がどんどん上昇し、あきらめて帰ることに。車で山を下りているとき、ふと細い山道の脇に小さな影をみつけました。

「よく見ると、小さな子猫でした。『もしかして車にひかれたのかな?』と思った次の瞬間、夫が『動いた!』と。私たちはあわてて車をおりて、子猫に駆け寄ってみると幸いケガはなく、とてもお腹をすかせているようでした。それが、ルナとの出会いです」

抱き上げるとその体はとても軽く、体温も弱々しい─。山を下りてフードを買い与えても食べられず、水を少し飲むだけ。衰弱が深刻だとすぐにわかる状態だったといいます。

「当時、我が家には先住の保護猫・ジジが暮らしていたのですが、この子がとても臆病なためルナと同居するのは難しいだろうと思い、このまま家へ連れて帰るか迷いがあったんです。でも今保護しなければ、この猛暑のなかまちがいなく死んでしまうだろうと思いました」

そうして、ルナちゃんを連れて病院へ。

「道中、膝の上にのせたルナはぴくりとも動かず、寝ているのか、それとも死んでしまったのか判別がつかないほど衰弱していて不安でたまらなかったのを覚えています。とにかく『生きて! 死んだらダメ!』と祈るような気持ちでした」

■一命をとりとめて… 先住猫と深めた“姉妹の絆”

病院で判明したのは、ルナちゃんがまだ生後3カ月~3カ月半ほどの女の子だったこと。脱水がひどく、食事もとれないほど弱っていたといいます。

「先生からは『このまま放っておいたら死んでしまったでしょう』と言われました。白血病や猫エイズの検査は陰性。皮下注射をしてもらい、『2カ月くらいは先住猫とは隔離して過ごすように』と言われて帰宅しました」

その日の夜までぐっすり眠り、ようやく食事を口にしてくれたとき、大きく安堵したといいます。後に寄生虫も見つかり、治療に1カ月ほどを要しました。

ようやく隔離期間を終え、先住のジジちゃんと少しずつ顔合わせすることに。しかし、臆病なジジちゃんはシャーッと威嚇。対してルナちゃんは、まっすぐ「遊ぼうよ」と向かっていったそうです。

「怖がって逃げるジジを、おかまいなしに追いかけて飛びかかるルナ。このまま関係は平行線をたどるように見えました」

ところが、3カ月ほど経ったある日、ふたりの関係に変化が起こったといいます。

「突然仲良くなったんです。それからは毎日、ふたりはくっついて仲良く遊ぶようになりました

■1歳になった今…ルナちゃんへ伝えたい言葉とは

ルナちゃんはすっかり元気を取り戻し、その人懐こいキャラクターで家族をメロメロにしています。

「天真爛漫で人間が大好き。寂しがり屋なところもあります。とにかく遊ぶのが大好きで、来客があると怖がらずに自分から近寄って遊んでもらいます。また、ちょっぴり頑固な一面も。『これはしちゃダメ』と注意されても、自分がやりたいと思ったことは貫き通します。一度何かが気になると、どうしても見たり触れたりしないと気がすまないようです」

飼い主さん家族、そしてジジちゃんにとって、ルナちゃんは欠かせない存在になりました。

「私と子どもは、ふたりを“ジジ”、“ルナ”と呼びますが、夫は“ジジ子”、“ルナ子”と呼んでかわいがっています。ルナを保護したときは、ガリガリに痩せていて心配でたまりませんでしたが、よく食べて元気を取り戻してくれて本当によかったです」

今、飼い主さんがルナちゃんに伝えたいメッセージとは。

「私たちを幸せに、笑顔にしてくれてありがとう。これからも元気でいてね」

家族の願いに応えるように命の輝きを取り戻し、今ではジジちゃんと本当の姉妹のように過ごしているルナちゃん。これからも家庭を明るく照らしてくれることでしょう。

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)