車両は1982年の開業時から使われている
車両は1982年の開業時から使われている

先日、東京出張の合間に千葉県にある山万(やままん)ユーカリが丘線に乗車しました。山万ユーカリが丘線は不動産業の山万が1982年に敷設し、関東では初めて新交通システム(自動案内軌条式旅客輸送システム)を採用しました。営業キロは4.1kmと短路線ながら、なかなかキャラが濃い路線として知られています。そのキャラの濃さをレポートします。

■貴重な新交通システム「VONA」

ユーカリが丘線はユーカリが丘駅を起点とし、途中の公園駅からループ線となります。路線図を見ると、ちょうどテニスラケットのような形をしています。

起点駅のユーカリが丘駅は千葉県佐倉市にあり、京成本線との接続駅です。参考までに、京成上野駅、日本橋駅(都営浅草線)はユーカリが丘駅から1時間圏内です。

山万は大規模ニュータウン「ユーカリが丘」を手掛け、団地内の公共交通手段として開業したのがユーカリが丘線です。先述したとおり、ユーカリが丘線は新交通システムですが、全国的にあまり見かけないタイプ、レールにあたる案内軌条が真ん中にあるシステム「VONA(ボナ)」を採用しました。「VONA」を採用した新交通システムとして、愛知県の桃花台新交通がありましたが、こちらは2006年に廃止されました。

ユーカリが丘線は団地内を走りますが、2023年度の平均通過人員(輸送密度)は890人/日でした。単純に比較するなら、地方ローカル線とだいたい同じです。

■自動改札機に懐かしさを感じる

京成のユーカリが丘駅から連絡通路を進むと、ユーカリが丘線のユーカリが丘駅に着きました。駅の自動改札機は交通系ICカードに対応せず、20年以上前の私が使っていたタイプに似ていました。ただし、券売機で購入した切符はQRコード式で、改札機には顔認証(ユーカリPASS)の機械があり、平成と令和の技術の交差が見られます。

車両は開業時からのもので、卵型のSFに出てきそうな車両です。しかし、ユーカリが丘線の車両は冷房がなく、車内にはおしぼりやうちわがありました。

ところで、車内を見上げると、何やらクーラーのような吹き出し口がありました。手を当てると、風を感じ、人によっては「クーラーではないか」と勘違いするかもしれません。これは「ラインデリア」という、送風機の一種です。昭和後期の非冷房の通勤電車にはラインデリアが設置されていました。現在はクーラーとラインデリアの組み合わせが主流となり、非冷房車のラインデリアは珍しくなりました。

■シンプルな設計が心にささる

ユーカリが丘駅を出発すると、3分で公園駅に到着しました。駅名の通り、駅近くにはユーカリが丘南公園があります。駅はエレベーターはありますが、とても簡素なつくりで、駅というよりは高架式の停留所といった感じです。公園駅から女子大駅、中学校駅、井野駅に止まり、また公園駅に戻ります。中学校駅近くには佐倉市立井野中学校がありますが、女子大駅近くには女子大はありません。駅前には和洋女子大学のセミナー施設があります。もともと、セミナー施設の敷地にキャンパスが建設される予定でしたが、計画はとん挫しました。

ユーカリが丘駅から公園駅経由で一周すると、14分の旅路です。ユーカリが丘線は、昭和から平成、そしてQRコード式の切符や顔認証の令和まで。いろいろな時代の技術が見られる興味深い鉄道路線です。

(まいどなニュース特約・新田 浩之)