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(10)処分地はないか 膨大な量 収容限界迫る
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 規模は山間部で日本最大という神戸市の布施畑環境センターは、須磨区から少し西区に入った山すその谷間にある。埋め立て面積百二ヘクタール。道路からは山影に隠れて、その全容はわからない。

 地下鉄名谷駅から車を走らせる。入り口までまだ三キロある須磨区白川台付近から渋滞は始まっていた。解体家屋のがれきを満載した大小のトラック群だ。

 車はほとんど動かない。新聞を読み、弁当を食べながら運転する人もいる。渋滞を抜けるまで毎日、二、三時間はかかるという。

 「解体はいうてもそれ自体は早いから。問題はここやで」「センターが開くのを並んで待って、初めて長田から一日二往復できる。解体順番待ちの人がたくさんいるから、何とかしてほしいよ」。運転手らは口々に訴えた。

 片道一車線のくねくね曲がった道をのぼり切ると入り口だ。運ばれたがれきが自然発火し、煙があちこちであがる。場内でものろのろ運転が続き、退場までにも時間がかかる。受け付けは午前八時半から午後六時まで。渋滞を避けようと入り口前で夜を明かしたり、早朝から並ぶ車もある。

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 被災者が倒壊家屋の解体-撤去を申請してもなかなか進まない。その大きな原因が、投棄場所の確保とこの大渋滞だ。

 神戸市は、最終的に約千三百・千四百万立方メートルのがれきが出るとみている。がれきは、主にコンクリート系と木質系に分けられる。コンクリート系は、仮置き場に運ばれ、ほとんどが海面埋め立てに使われる。

 木質系は焼却しなければ海面埋め立てができない。大半が布施畑や北区の淡河環境センターに運ばれる。

 布施畑では当初、野焼きをし、木材の分量を減らしていた。しかし、周辺の苦情が続き、約三週間前に野焼きを中止。木質系と土砂が混じっているケースも多く、大半はそのまま埋め立てる。

 震災後、一日の搬入量は七-十倍に増えた。二〇〇二年までの使用が計画されていたが、このままでは、今秋にもいっぱいになる懸念すらあるという。

 「容量に限界があるから、どんどん発注をするわけにもいかない」と市災害廃棄物対策室。布施畑は本来、家庭粗ゴミの埋め立て地で、職員らは「粗ゴミを捨てる場所がなくなってしまう」と危ぐする。

 西宮市や芦屋市は、埋め立て地に設けた仮置き場にすべてを運び込む。他市町への搬入、リサイクルなど、その後の処理の道を探るが、なかなか決まらない。

 西宮市は「最終的な処分のめどが立たないと、発注も増やせない」と悩みをもらし、「解体・撤去に時間がかかるのは、被災者と関係権利者の問題などさまざまな問題が絡み合うからだ」という。

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 布施畑環境センターには、近く木材の破砕施設と焼却炉が設置される。周辺の渋滞緩和のため、新たな仮置き場の検討が始まっている。しかし、荻尾和彦・神戸市環境局長は「抜本的な解決策といわれても」と、歯切れは悪い。

 解体・撤去の完了のめどは二年。同市は四月からの一九九五年度にその七割を終える予算を組んだ。努力目標ともいうが、実行は市の姿勢にかかっている。

1995/3/16

 

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