日々小論

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 このまま温暖化が進むと、今世紀末に地球の海面は最大1・1メートル上昇する-。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、特別報告書でそう警鐘を鳴らした。

 「気候の危機」と呼ばれる高温、豪雨、暴風が世界各地で頻発している。そうした気候変動への危機感を世界で共有するために目を向けるべき場所が、海なのだと思う。

 はっきりしているのは、地球上の氷が急速に解け、その水で海が膨張していることだ。

 解けることがなかったグリーンランドや南極、シベリアの氷が解け、海面上昇のペースが加速している。今夏、北極の氷は過去2番目に小さくなった。観光地だった世界各地の氷河が消えていく。

 海水温の上昇は私たちの食を大きく変えている。記録的不漁が続くサンマに象徴されるように、地域の風物詩だった魚たちが生息域を変え、姿を消す。

 世界的な健康志向などから魚の消費は急拡大しているが、逆に多くの水産資源は乱獲と温暖化で危機にひんしている。温暖化が進めば、世界各地で魚をめぐって漁業者が争い、国と国が対立するリスクが強まりかねない。

 そして、広大な海まで変えている温暖化が、引き返せない一線を越えるところに来ていると指摘する声が高まる。

 国連本部で先月、各国首脳による「気候行動サミット」が開かれたのは、その切迫感が共有されつつあるからだ。

 化石燃料から自然エネルギーへの転換という答えは、ずっと示されてきた。求められているのは行動することだ。先人から引き継がれ、地域の個性そのものだった特産物と風景を失った世代とならないために。

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