先日、所用で静岡県三島市に赴いた際、隣の函南(かんなみ)町の災害ボランティアに参加した。
東日本を襲った台風19号について、気象庁は予測される降水量を1958年の狩野(かの)川台風級と表現したが、その狩野川沿いにある。今回、川は持ちこたえたものの、低地ゆえ雨水がたまり、400軒以上が浸水や損壊に見舞われた。
訪れたのは発災1週間を過ぎた時期で、目立った混乱は見られない。町の社会福祉協議会が設けた災害ボランティア拠点もこの日限り。浸水に伴う非常態勢の最終段階とうかがえた。
しかしボランティアへの支援依頼が途絶えたわけではない。
向かったのは独り暮らしの男性高齢者宅。散乱した家具や水を含んだ布団、書籍などを数人がかりで運び出す。
大半の家が災害ごみの処分を終えたのか、近くの仮置き場はすでに廃止されている。通常のごみ出しのルールに従い、燃えるか否かなどを分別してトラックに積み、町外れにある既設の処分場へ。荷台から降ろし、戻ってくるとざっと1時間。まだまだごみは山を成す。
この男性への支援は、最終段階どころか道半ばだ。今後は町内のボランティアが携わると聞いたが、果たして人手は足りるのか…と案じられた。
復旧に官民の総力がそそがれる自然災害の被災地にも、いつかは非常時を脱し、平常体制に戻る日がやって来る。それは復興への第一歩でもある。
だが、平常に戻れる人ばかりでは決してない。
今回の台風だけでなく、昨年の西日本豪雨や8年前の東日本大震災、そして発災25年になろうとする阪神・淡路大震災。どの被災地にも、息長い支援は欠かせない。








