日々小論

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 秋の風物詩、赤い羽根共同募金運動が今年も始まっている。

 相次ぐ自然災害のたび、被災地には多額の義援金が届く。社会に善意の輪が広がりやすくなった証しだろう。赤い羽根募金も増えていると思いきや、これが見事な右肩下がりなのだ。

 「歳末たすけあい」なども含めた共同募金の総額は、阪神・淡路大震災発生直後の1995年度に265億円を記録した。しかしその後は毎年のように減り、2017年度は179億円と3割も落ちこんだ。これほど減ってはいないが、兵庫県内の募金額もほぼ同じ傾向にある。

 要因の一つに指摘されるのは、「募金の使い道がわからない」というイメージだ。

 共同募金は毎年、地域の共同募金会が寄付先や目標額を決める。インターネット上のデータベース「はねっと」によると、県内では18年度、福祉施設や青少年への支援など1964件に、計6億円弱が届けられた。被災地に設けられる災害ボランティアセンターにも、募金の一部が生かされる。

 ところがこうした活動内容を、集める側が十分にアピールできているとは言いがたい。

 ネット上で動画も生かして活動を紹介し、幅広く浄財を集めているNPO団体は全国に数多い。社会に役立てるという手応えをより多くの人につかんでもらえれば寄付額も増え、ひいては地域福祉の向上につながっていくだろう。

 県共同募金会の江本幸仁会長は「活動を知ってもらうため、さまざまな可能性を追求したい」と意気込む。

 地域でお金を集め、地域で役立てる仕組みは、いわば善意の地産地消と言える。赤い羽根ももう少し積極的にPRして、大きく羽ばたいてほしい。

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