日々小論

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 日本の子どもの「精神的な幸福度」は先進国で最低レベルだという記事が、先日あった。38カ国中37位だそうだ。国連児童基金(ユニセフ)が調べた。

 大人も同様だ。経済協力開発機構(OECD)による幸福度ランキングでも、日本の順位は決して高くない。

 だが、違う指標もある。内田由紀子京都大教授の近著「これからの幸福について」では、協調的幸福尺度というものを紹介している。「大切な人を幸せにしていると思う」「平凡だが安定した日々を過ごしている」。日本人が願うような穏やかで周りと調和した幸福感を測るために、内田氏らが考案した。

 個人的な達成が前面に出る欧米の物差しではなく、協調的幸福尺度で調べると日本は全体の中で低くならず、他国の結果も妥当だった。経済成長に限界が見えた脱成長社会では、協調的な幸せは文化を超えて共有されるのではないかという。

 とはいっても、日本の現状を単純に良しとも言えない。例えば、幸福度ランキングの上位にいる北欧諸国の社会保障には学ぶべきところがあるだろう。

 この本では「幸福の国」として知られるブータンの事例を取り上げる。同国の政策は国民の幸福を考えて立案される。山を切り開いて道路を通そうとしたとき、自然が壊れて幸福が減ってしまうという理由で、造らなかったこともあるそうだ。

 ブータンの幸せは充足という意味に近いという。経済的には恵まれた日本の方が「幸福を感じる力は衰えているかもしれない」と内田氏は指摘する。

 幸せの条件はあるのに幸福感が低いとすれば、条件不足より深刻だ。日本には日本ならではの幸せがある-と胸を張れるような国になれないものか。

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