日々小論

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 未確認飛行物体(UFO)は「空飛ぶ円盤」とも呼ばれた。作家の三島由紀夫は「円盤」に深い関心を抱き、観測会にも参加していたそうだ。

 1962年に出版された小説「美しい星」は、円盤との接近遭遇をきっかけに人類の存亡の機に気付き、啓発活動に立ち上がる一家を描いている。

 三島が当時感じた人類の危機とは核戦争による破滅だった。米国は太平洋で核実験を行い、日本のマグロ漁船が被ばくした。対抗してソ連も水爆実験をした。被爆国・日本はもちろん、世界中が「終末」の予感におののく時代だったのだろう。

 三島は自身の危機意識を、地球人に向けた宇宙人のメッセージとして表現した。そのメッセージを感じ取れるのも宇宙人だけ。小説に登場する一家は、実は人間社会で暮らす宇宙人-という設定である。

 ところで、UFOは宇宙から来るのか。そもそも実在するのか。その疑問に答える形で米国が報告書を公表した。140件超の報告があったが、正体については「明確な結論は出せていない」という。

 説明のつかない謎ほど想像力を刺激される。三島も刺激された一人だったようだが、UFOが人類に警告を発しているのだとすれば、今の時代は「核の危機」にとどまらないだろう。

 地球温暖化や大規模災害、感染症拡大…。資源の大量消費と自然破壊に起因するさまざまな災厄についても、シグナルを送ってきているはずである。

 ただ本当に終末が来るまでは誰もまじめに信じない、「それが人間というもの」と三島は書く。夜空を見上げる前に目の前の課題とまじめに向き合いなさい。UFOが実在するのなら、そう諭しているに違いない。

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