日々小論

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 昨年、尼崎市内にお寺を開いた露の団姫(まるこ)さん(35)を取材した。女性の落語家で天台宗の僧侶。「アマ(尼崎)のアマ(尼)さん」を自称し、お寺を「心の充電スポットに」と話す。

 人の悩み相談に乗る団姫さんが自身の心の支えとするのが、仏教の経典・法華経(ほけきょう)だ。そこには「常不軽(じょうふきょう)」と呼ばれる菩薩(ぼさつ)が登場する。

 この菩薩は、老若男女を問わず、出会った人にひたすら語り掛ける。「私はあなたがたを軽んじません。あなたがたは軽んじられることはありません」

 最初はあなどった人々も「誰もが大切にされるべき存在だ」と説き続ける姿に次第に心打たれ、最終的に信服する。

 神戸市看護大ボランティア部の学生たちが、HAT神戸の復興住宅で高齢者と交流を続けている。血圧を測定し、手作りクッキーでお茶を飲み、おしゃべりとゲームを楽しむ。

 しかし、それもコロナ禍でままならなくなった。感染の不安から、緊急事態宣言の期間や流行の拡大期などは、対面での活動を控えざるを得ない。

 思案して始めたのが携帯電話での「訪問」だ。4回生の宇上紗永さん(22)と部長で3回生の小澤未悠奈さん(21)を中心に、高齢者に声の便りを届ける。「孤独は健康に影響しかねない」という看護学生の配慮だが、「孫からの電話のようと喜んでもらえるのがうれしい」とも。

 団姫さんが大好きという法華経の常不軽菩薩は、宮沢賢治も「雨ニモマケズ」のモデルにした。困っている人がいれば駆け付けて寄り添う。「サウイフモノニワタシハナリタイ」と賢治は書いている。

 「一人にしない」。若い学生たちの言葉にも、その心に通じるものを見た思いがする。

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