日々小論

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 コロナ禍前にスウェーデンを旅したとき、首都ストックホルムの北約70キロにある大学町ウプサラを訪ねる機会があった。

 1477年創立のウプサラ大は北欧最古の大学だ。木々に覆われたキャンパスに風格のある校舎が点在する。近くには大聖堂と古城があり、川沿いに歴史的な建物が並ぶ。落ち着いた雰囲気ながら学生の活気も感じられる魅力的な町だった。

 今年のノーベル医学生理学賞に決まったスバンテ・ペーボ氏(67)は、ウプサラ大の文学部でエジプト学を学んだ。その後畑違いの医学部に進むのだが、そこにはつながりがあった。まずはエジプトのミイラからのDNA抽出に挑戦し、人類の進化解明に踏み出していく。

 約4万年前に絶滅し、現代人とは別とされてきたネアンデルタール人。ペーボ氏はその骨のDNAを解析し、アフリカを出て欧州やアジアに移った原生人類が、ネアンデルタール人と交雑していた証拠を示した。人類史を塗り替える大発見だ。

 文学部出身者の医学生理学賞受賞は例がないのではないか。それに驚いたのと同時に、考古学と遺伝学を結びつけた研究の過程を知って、文系・理系の区分が便宜的に過ぎない時代になったと実感させられた。

 ペーボ氏はドイツ在住だが、沖縄科学技術大学院大(OIST)の客員教授も務める。OISTは10年前に政府主導で開学した私立大学で、世界各国の教員と学生が最高水準の研究を進めている。受賞を機にあらためて注目を集めるに違いない。

 沖縄タイムスによると、ペーボ氏は沖縄本島で発見された港川人(みなとがわじん)(約2万年前)などにも関心を示しているという。私たちの祖先がどこから来たのか、ぜひ明らかにしてほしい。

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