青春、朱夏、白秋、玄冬。
四季を表す言葉を人生100年時代に当てはめ、50~75歳を白秋世代と呼ぶそうだ。人生の円熟期、収穫期である。1970年代前半生まれの「団塊ジュニア」の人々が、今まさに白秋世代の入り口に差しかかる。
自己実現や起業と言えば、これまでは勢いのある青春世代(25歳まで)や、働き盛りの朱夏世代(25~50歳)の専売特許のように語られてきた。「年がいもなく」といった呪縛を解き、50代以降に人生二つ目のピーク期を持ってきたい-。そんな活動が神戸から始まっている。
フェリシモやシスメックスなど地元企業のほか、あいおいニッセイ同和損保、大日本印刷など35社・団体が参加し、「白秋共同研究所」が発足したのは1年前。肉体的、精神的、社会的に満たされた状態を指す「ウェルビーイング(よく生きる)」の考え方を基に活動する。
例えば、「合理的」なことが当たり前だった従来の意思決定プロセスに、社会性や幸福度の視点を入れてみるなどして、企業や社員に行動の変容を促す。白秋世代が社内外で自身の役どころを見つけ、再活躍できるプログラムも提供する。
東京のコンサル会社勤務を経て、神戸市灘区にUターンした広岡大亮さん(39)が代表を務め、来年4月の一般社団法人化を目指す。
新たな考えを市民に理解してもらい、社会実装につなげるには一定の経済規模が必要だ。広岡さんは言う。「東京は街が大きすぎて、実装にたどり着けない。コンパクトに都市機能がそろう神戸では新しい動きを社会に提案し、組み込みやすい」
明日から11月。深まる秋とともに、人生の秋が豊かになった街を想像してみる。








