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武庫川渡船が提供したチヌ(クロダイ)が入ったカレーを皿に盛り付ける西ユミ子さん
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武庫川渡船が提供したチヌ(クロダイ)が入ったカレーを皿に盛り付ける西ユミ子さん
釣りたての魚を武庫川渡船の従業員(左)に手渡す釣り客=いずれも4月、尼崎市
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釣りたての魚を武庫川渡船の従業員(左)に手渡す釣り客=いずれも4月、尼崎市

 尼崎で釣れた魚を、子どもたちに-。尼崎市の防波堤「武庫川一文字」に釣り客を運ぶ渡船会社が、釣れすぎて釣り人が持て余したチヌ(クロダイ)やスズキを回収し、子ども食堂で食材として使ってもらう「フィッシュ・シェアリング」を展開中だ。

 「今日は5本や」

 気温も海水温も上がり、魚の動きが活発になってきた4月下旬。尼崎市の武庫川河口にある「武庫川渡船」の船着き場へ戻った釣り客たちが、釣りたての魚を渡船の従業員に続々と手渡した。体長60センチ前後のスズキを5匹寄付した大阪市の税理士舩木俊晴さん(54)は、笑顔だった。

 「子ども食堂に提供したいと思っていた。釣りがいがある」

 寄付された魚は、渡船事務所の台所で従業員が三枚おろしにし、キッチンペーパーで水気と臭みを取り、真空パックにする。冷凍庫で鮮度を保ち、要望に応じて尼崎市内の子ども食堂に無償で配る。

 同市内の子ども食堂「晴れるや」では4月末、チヌ入りカレー弁当50食を、母と子に振る舞った。運営する西ユミ子さん(74)は「魚は栄養価が高いけれど、値が張る。提供はありがたい」と話す。ひとり親や共働きの家庭の子どもは、魚料理を口にすることが少なくなっているという。

 武庫川渡船を営む宮本悦男さん(43)は、漁師の家に生まれた。3年前、子ども食堂が予算面などから食材確保に悩んでいると聞き「釣り客がリリースする魚を、活用できないか」と考えた。

 子ども食堂の他にも提供先を広げた。あらを乾燥させミキサーで粉砕した魚粉を、農家や花を育てる市民に、肥料として使ってもらっている。ネコの愛護団体には、餌として魚を供給している。

 尼崎の海は、高度経済成長期に工場や生活の排水が原因で汚染に苦しんだ。水質は近年回復し、イルカの回遊も見られるほどになった。だからこそ、地元の魚を子どもたちに食べてもらいたいと、宮本さんは考えている。

〈武庫川一文字〉 正式名称は西宮防波堤。兵庫県の武庫川河口から約1.5キロの大阪湾上で、東西に延びる。全長約4.4キロで、同様のものでは茨城県の茨城港常陸那珂港区の東防波堤に次ぐ、国内2番目の長さ。家族連れでもアジやイワシが手軽に釣れ、引きも味も良いブリやタチウオが回遊する春や秋は、関西一円を中心に腕に覚えのある釣り人が集まる。

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