基準違反で2022年5月からふるさと納税への参加を取り消され、7日に公表された第三者調査委員会の報告書で「市幹部の法令順守意識が低い」と批判された兵庫県洲本市。上崎勝規市長は「真摯に受け止める」としたものの、翌日あった市議会の特別委員会では、報告書の指摘内容に反論とも取れる釈明を繰り返した。洲本市議会「ふるさと納税問題調査特別委員会」でのやりとりは-。
■「反論を示すために提示」
同委員会は8日午後、洲本市役所で開かれた。上崎市長がひときわ異議を示したのは、報告書で「偽造」と指摘された、ふるさと納税返礼品の温泉利用券に関する公文書の件だ。
「温泉利用券の関係書類を市が問題発覚後に作り、偽装したことは事実か」。間森和生議員が問うた。
「一般論だが」と切り出した上崎市長。「問題を指摘された時に自分たちの見解を示す文書を作ることは不自然ではない。それが後付けで作った物でも認められれば問題ないと解釈していた。しかし結果としてアウトと指摘された」と説明し、続けた。「つじつま合わせで作ったのではない。反論を示すために提示した。偽造にならないと思う。もう少し調査したい」
■「外部の指導は受けない」
次に間森議員は、市が外部の委員会を設けて改善指導を受けながら制度に復帰するべき、とした報告書の提言について聞いた。
すると、市の担当部長は「委員会が必要とは考えていない」と発言。「外部の力がなければいけないと判断すれば、その方向もあると思う」と答えるにとどまり、提言に即応する考えはないとした。
原田ひとみ議員も、市がずさんな手続きを重ねながらふるさと納税の寄付をどんどん受け入れ、第三者委に「職員の労務管理上、問題がある」と指摘された点を挙げて、見解を尋ねた。
「報告書に『通販事業のようだった』という職員の証言があった。市の本来の業務から外れている。同じ状況で再開しても不透明なまま。外部に業務委託してはどうか」
ところが、上崎市長は「委託に舵を切ることも方法の一つ」としつつも「寄付者にお礼をするのは私たち自治体だ。市のことを一番よく分かっている職員が、対応や新商品開発などをした方がよい」と主張。
原田議員は「返礼品をもってお礼はできている。これ以上職員に負担をかけることはない」と返し「市が一からやり直したことが寄付者に伝わり、納税が増えた時、初めて職員も市民も納得した上で再スタートできるのではないか。そのためにきちんとした業者を選ぶべきだ」と求めた。
■「資料残らず分からない」
また、本来は旅館側が発行すべき温泉利用券を市が発行し、報告書で問題視された件について、小野章二議員がいきさつを質問したが、市担当者は「資料が残っておらず分からない」
一方、返礼品事業者から返礼品送料が通常より多く請求されていた-とする報告書の指摘について、小野議員が「返還させるのか」と聞くと、この担当者は「今後精査し、不正だった場合は請求する」とした。
さらに、久保哲二議員は「法令順守意識が低いと言われた市長ら幹部が再発防止に向けた役所内の研修についていくら考えても、職員は納得できないのではないか」、柳川真一議員は「市長、副市長は市役所全体の事業がおかしいのではと自ら危機感を持ち、意識改革をしてほしい」とそれぞれ指摘、要望した。
第三者委の報告書では、「議会の行政監視が機能していない」との指摘もあった。特別委は9月定例会中に調査報告書をまとめる予定。特別委委員長の木戸隆一郎議員は「今後、その点について議論し、調査報告書に何らかを盛り込みたい」と話した。(荻野俊太郎)