「疫病神」シリーズで知られる作家・黒川博行の同名小説が原作の映画「国境」の撮影が進んでいる。監督は「パッチギ!」など、常に世の理不尽を問うてきた井筒和幸。オール関西ロケの真っただ中、異例の「撮影中会見」が、大阪市阿倍野区のあべのハルカスで開かれ、ダブル主演の伊藤英明と染谷将太、井筒監督らが手応えを語った。
大阪のヤクザ・桑原保彦(伊藤英明)と建設コンサルタント・二宮啓之(染谷将太)が、金を持ち逃げした詐欺師を追い、命がけで北朝鮮へ向かう、アクションノワール。2月末に神戸市東灘区でクランクインし、県内では尼崎市、赤穂市、洲本市、南あわじ市、さらに大阪市や京都市、和歌山県海南市など、関西一円で撮影を続けている。
井筒監督は「原作を読んだとき、今までにない冒険物語で、コンビ(バディ)ものとして映画『悪名』シリーズでの勝新太郎と田宮二郎の掛け合いを思い出した。巨匠たちが作り上げたものに追いつく日本映画を作りたい」と思いを込める。さらに「くしくも今、世界の『親分』たちが我欲でシマを取り合っている。映画でも2人がそれを皮肉るくだりがあり、今の時代だなと思う」と現代社会に切り込む視点もあると語る。
駆け出しの頃、偶然、井筒作品に出演した伊藤は監督から「兄ちゃんのせりふには血が通ってへんねん」と言われたことが役者としての原点だと明かした。本作でも熱心な指導を受けており、「毎日が新たな学びで、楽しくて仕方がない」と目を輝かせる。「考えも育ちも違う2人が、一つの目的のために国境を越える。完成版をこんなに早く見たいと思った作品は初めてです」と自信をのぞかせた。
伊藤との共演は6作目、気心知れた仲の染谷は、向こう見ずな桑原(伊藤)を冷ややかに見詰めながらも支える二宮を務める。「こんなに楽しい現場はない。笑えて、ハラハラして、テンポも軽快。娯楽映画として最高な上に、説教くさくなく社会の縮図が描かれている。素直に大好きだと思える作品です」と笑顔で語った。
実際に北朝鮮まで行き取材した黒川は「疫病神シリーズはいくつか映像化されているが、スケールの大きさで『国境』は無理だと思っていた」。ロケ現場にも足を運んだといい、「演技指導など、井筒監督の熱量がすごい。映画が完成し、自分の目で見られることがうれしい」と期待を寄せた。
映画は4月中をめどに関西で撮影し、年末から2027年初めに公開予定。
(敬称略)
安藤真子
























