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「ヌノビキ」を冠した清涼飲料水=西宮市津門綾羽町、布引礦泉所
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「ヌノビキ」を冠した清涼飲料水=西宮市津門綾羽町、布引礦泉所
大正時代の登録商標。滝や橋が描かれている
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大正時代の登録商標。滝や橋が描かれている

 新神戸駅の近く、布引の滝へと続く道の傍らに、ニョキッと地上に出ている取水口を見つけた。何だろう? 取材を進めると、興味深いことが分かってきた。

 100年以上前からこの周辺には炭酸水が湧いており、温泉場があったり炭酸水が売られたりしていたという。しかも、その水は今も脈々と受け継がれ、商品として販売する業者があると知り、驚いた。

 1899(明治32)年創業の布引礦泉(こうせん)所。元々は現在の新神戸駅北側に社屋を構えていたが、阪神大水害の影響で1942年に移転し、現在は西宮市に本社がある。その名も「ヌノビキ・タンサン」という商品を筆頭に、20種類ほどを取り扱っている。

 同社の石井恭子社長に会って話を聞いた。

 「昔は炭酸水が湧いていたようなんですがねえ。今は地下の水をくみ上げて工場で炭酸水にしています。六甲山の地下からくみ上げている水なのでおいしいですよ」

 かつて本社があった場所、新神戸駅の北側に地下水を採取する設備を置き、定期的にタンクローリーで水を吸い上げる。六甲山の花こう岩を通って湧き出た水は硬度が高く、まろやかで味わい深いという。

 せっかくの機会なので事情を説明し、創業間もない頃の登録商標を見せてもらった。すると、思わず声を上げてしまった。美しい滝と、今は撤去された見物用の橋が描かれている。やはり「ヌノビキ」なのだ。120年以上、連綿と続いてきた歴史に思いをはせる。

 4代目社長の石井さんが言った。

 「実は、当社は川重(川崎重工業)と関係が深いんです」。川崎といえば-。(安福直剛)

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