世は落語ブーム。新型コロナウイルス禍をきっかけに配信も充実し、スマホを通じてその奥深い世界にふれた人も多いようです。となると次はやっぱり寄席に足を運び、生で落語を聞いてみたいところ。「寄席ってどんな場所?」「初心者でも楽しめる?」。上方落語の定席として6年前に開館した神戸新開地・喜楽館を訪ね、支配人でABCシニアアナウンサーの伊藤史隆さん(61)にイチから教わりました。

 ■ドレスコードは?

 -落語会の取材はしたことがあるのですが、寄席小屋には初めて来ました。

 「365日いつも開いている落語の定席は関西では大阪の天満天神繁昌亭と、この喜楽館だけです。喜楽館では午後2時から『昼席』という公演をやっています」

神戸新開地・喜楽館の客席と舞台(奥)=神戸市兵庫区新開地2

 -落語は好きだけど、寄席に行くのはハードルが高いという人もいます。初心者でも楽しめますか。

 「大丈夫。初めて来たという人もみんな大笑いできるのが寄席です。気軽に来てください」

 「よく『どんな服装で行ったらいいですか』と問い合わせがあります。ジーンズにTシャツで十分。普段着で来てください。寄席はかしこまって来る場所じゃありません。『ちょっと時間が空いたな』とぶらっと入るのが本来の姿でした。もちろん前売り券を買っていただくのは、この上なくありがたいことですけど」

 ■予習不要

 -落語や落語家さんに詳しくなくても楽しめますか。予習が必要でしょうか。

 「あまり落語を聞いたことがない方でも、必ず分かります。難しいものではありません。むしろ予習なんてしてこない方が楽しめますよ」

神戸新開地・喜楽館の舞台を案内してくれた伊藤史隆支配人=神戸市兵庫区新開地2

 -いわゆる「通」の人ばかりで、初心者は居心地が悪くなったりしませんか。

 「ご心配なく。最前列で難しい顔をしているような人は、少なくとも関西の寄席にはいません。みんな笑いに来ているんですから。排他的な雰囲気とは無縁ですよ」

 「頑張って食い入るように見るようなもんじゃありません。くつろいで、ぼんやり座って噺家さんの声を聞いていればいいんです。すーっと演者が消えていき、頭の中に長屋でわいわいやっている人物が浮かんでくるはずです」

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 【伊藤史隆(いとう・しりゅう)】1962年、名古屋市出身。神戸大在学中は落語研究会に所属。85年、朝日放送にアナウンサーとして入社。スポーツ中継のほか、97年からラジオ「日曜落語なみはや亭」を担当。2023年春に定年退職し、現在はシニアアナウンサーとして勤務。同年4月から喜楽館の支配人も務める。神戸市灘区在住。