世は落語ブーム。コロナ禍をきっかけに配信も充実し、スマホを通じてその奥深い世界にふれた人も多いようです。となると次はやっぱり寄席に足を運び、生で落語を聞いてみたいところ。「寄席ってどんな場所?」「初心者でも楽しめる?」。上方落語の定席として6年前に開館した神戸新開地・喜楽館を訪ね、支配人でABCシニアアナウンサーの伊藤史隆さん(61)にイチから教わりました。

 ■大人の笑い

 -落語を生で見る楽しさは。

 「テレビやスマホで落語を見るのもいいけど、どうしても『よそごと』が頭に入ってくるでしょう。電話が鳴ったり風呂が沸いたり。寄席はそれがない。落語が見やすいしつらえなので、頭の中からよそごとが消えていきます」

神戸新開地・喜楽館の舞台と客席。舞台は総ヒノキだ=神戸市兵庫区新開地2

 「漫才の『M-1グランプリ』は4分で一つのネタをやりますよね。若い子のTikTokなんて10秒ほど。でも落語は30分。そこにあるのは大人の笑い。金に困ってる人とか、仲間が死んじゃった人、嫁はんをしくじる(機嫌をそこねる)人…。そんな話を明るい笑いに変えてしまう。寄席は大人の笑いに満ちた空間です」