世は落語ブーム。コロナ禍をきっかけに配信も充実し、スマホを通じてその奥深い世界にふれた人も多いようです。となると次はやっぱり寄席に足を運び、生で落語を聞いてみたいところ。「寄席ってどんな場所?」「初心者でも楽しめる?」。上方落語の定席として6年前に開館した神戸新開地・喜楽館を訪ね、支配人でABCシニアアナウンサーの伊藤史隆さん(61)にイチから教わりました。

 ■大御所が出演する理由

 -大御所や有名な落語家さんも日常的に出演されています。

 「ぜひ知ってほしいのは、寄席には大師匠たちが驚くほど安いギャラで出てくれているんです。笑福亭鶴瓶さんや桂文珍さんクラスが、場合によっては1万円や2万円。大ホールで千人くらい集めて独演会をできる人気と実力があるのに、です」

神戸新開地・喜楽館の昼席。笑福亭笑利さんのまくらが客の心をつかむ=神戸市兵庫区新開地2

 「ある師匠は『自分が存在するのは、次の世代に落語を受け継いでいくためだ』と話していました。寄席という場で若手や中堅を育てたい、光を当てたいという気持ちゆえに、ギャラそっちのけで一肌脱いでくれているんだと思います」