兵庫県の最南端にある南あわじ市の春の味覚サクラマスについて、稚魚のヤマメを神河町で養殖する試みが始動した。互いの地域の魅力を生かそうと交流を重ねる中で、雄大な山々が育む神河の清流に目を付けた。両市町が力を合わせ、「オール兵庫」の特産品とすることを目指す。(喜田美咲)
2022年に神河町で催した物産展をきっかけに、両市町の交流は始まった。南あわじ市の伝統芸能「人形浄瑠璃」を神河町で公演したり、同市から同町のスキー場を訪れるバスツアーを開催したりした。
山名宗悟町長らが同市へ視察に行ったとき、夏のハモや冬のフグで知られる同市の福良漁業協同組合は、春の名物としてサクラマスを15年から養殖していると知った。ところが、淡水で育てる稚魚は県外から仕入れていたため、「神河の川で育てて一緒に兵庫を盛り上げよう」との話が持ち上がった。