朱色で装飾された石組みがライトの明かりに浮かび上がる。1400年の時を経て、今なお変わらず-。
6世紀後半の古墳時代後期に築かれたとされる兵庫県指定文化財の円墳「禁裡塚古墳」(養父市大藪)。
内部の石室の色は酸化物を主成分としたベンガラという顔料とみられ、赤く塗られた石室は全国的にも珍しい。鎮魂のためと考えられるが、同市の担当者は「謎多き赤い石室」と称す。
県内には全国最多の1万9136基の古墳があり、但馬地域はうち約半数の9486基が集まる聖地。中でも禁裡塚古墳の石室の大きさは県内最大級を誇る。墳丘と同時に見ることができ、内部に入れるほど保存状態は良好だ。
大藪地区の足立篤史区長(72)は「この価値が広く認められ、国指定史跡になってほしい」と期待を口にする。付近に駐車場はなく、集落内の路地も狭いため、足立区長は「訪れた際は近隣住人に声をかけてほしい」としている。(鈴木雅之)