市内に残された謎の鉄柱。かつて「東洋一」とうたわれた神戸市電の名残だった。鉄柱の先端にある特徴的な構造物。神戸市交通局が所有していた電柱の目印だという=神戸市長田区東尻池新町
市内に残された謎の鉄柱。かつて「東洋一」とうたわれた神戸市電の名残だった。鉄柱の先端にある特徴的な構造物。神戸市交通局が所有していた電柱の目印だという=神戸市長田区東尻池新町

 神戸市長田区東尻池新町の歩道を歩いていて、奇妙な鉄柱を見つけた。表面はさび付き、ところどころはがれ落ちている。これは何? 手がかりになりそうなのは、てっぺんにあるタマネギのような形。調べてみると、どうやら半世紀前まで市内を走っていた路面電車「神戸市電」の名残らしい。阪神・淡路大震災も乗り越え、ひっそりと立ち続けてきた鉄柱の謎に迫った。(杉山雅崇)

 鉄柱の近くには町工場や住宅が立ち並び、朝夕になると多くの人々が行き交う。信号機や道路標識、コンクリート製の電柱の間に、古めかしい鉄柱が1本立っているのは、あらためて不思議な光景だ。

 道行く人に、何か手がかりはないか聞いてみた。ほとんどの住民が「あるのは知っていたけど何かは知らない」との答えだったが、周辺に70年以上住んでいるという女性(92)が、正体に迫るヒントをくれた。