阪神・淡路大震災が起きた1995年1月17日、神戸と淡路島を結ぶ明石海峡大橋(全長3911メートル)は建設中だった。架橋を手がけた本州四国連絡橋公団(現・本州四国連絡高速道路)は10日後、橋の長さが約1メートル延びたと公表したが、さらに大きな被害が見つかれば、造り直しを迫られる状況だった。工事再開を決断した裏には、地震の影響を正確に見極めた技術者の奔走があった。(古田真央子)
■歩いて高さ300メートルの主塔へ
地震発生時、世界最大級のつり橋は7割まで工事が進んでいた。海に突き刺さるように2本の主塔が建てられ、まだ橋桁は渡されていない。淡路島から神戸まで主塔を挟むように、橋桁を支える2本のメインケーブルが架けられていた。