「自分にも家族にも、いつ何があるか分からない」。能登半島地震の被災地で検視業務に当たった寶井雅史さんはそう実感したという=兵庫県警本部
「自分にも家族にも、いつ何があるか分からない」。能登半島地震の被災地で検視業務に当たった寶井雅史さんはそう実感したという=兵庫県警本部

 「どういう心持ちでご遺体と向き合えばいいのか、悩みながらの検視だった」。能登半島地震の発生直後、兵庫県警から検視官として被災地に派遣された寶井(たからい)雅史さん(48)が振り返る。元日のだんらん中に一瞬で断ち切られた命を前に、自分に何ができるのか-。感情があふれ、自問自答を重ねた1年前の記憶は今も鮮明だ。(小川 晶)

 寶井さんは当時、捜査1課で検視を担当する警部だった。地震発生3日後の1月4日、県警から派遣された広域緊急援助隊刑事部隊の12人を束ねる部隊長として能登の被災地に入った。

 数日後、土砂崩れに巻き込まれた住宅から、一家の遺体が見つかった。海沿いの体育館が安置所となり、事務机を並べて白いシートで覆って即席の検視台をつくった。